こんにちは。 桐生市、みどり市、太田市、足利市からも通いやすいMM歯科・矯正歯科 院長の真下です。

 

この度、「タウンわたらせ」というタウン誌の「エッセー」のコーナーに全4回でエッセイを掲載させていただくこととなりました!

 

今回は第2話を載せておきます!!

 

Bar「Clove」に入ると、カウンター奥の棚に小さなガラス瓶が並んでいる。クミン、カルダモン、ターメリック、クローブ。間接照明の下で、色とりどりの粉が静かに光っていた。スピーカーからはロックバラードが流れていた。モトリー・クルーの「Home Sweet Home」。どこか帰る場所を思わせる暖かいロックバラードだ。マスターは何も言わず、グラスに氷を落とす。カラン。その音を聞くと、マシモは今日の患者の顔を思い出してしまう。八十歳のおじいちゃんだった。上下総入れ歯を作りたいと言って来院した患者だ。問診をしてみると、意外なことを言った。「いやぁ先生、今まで歯がなくてもそんなに困ってなかったんですよ」マシモは思わず聞き返した。「本当ですか?」「うん。なんでも食べてましたよ」それでも歯医者に来た理由があった。「孫に言われたんです。おじいちゃん、歯ないの?って」それで急に気になったらしい。何度か通院し、上下の総入れ歯が入った。入れ歯の調整をしているとき、ふとカレーの話になった。「カレー作るのが好きなんですよ」聞けば家でよくスパイスカレーを作るという。マシモのクリニックに置いてあるレシピも読んでくれたらしい。「先生のレシピ、作りましたよ。でもビーフは硬くて食べられないから、チキンに変えました」確かに入れ歯では硬い肉は難しい。「でもね」おじいちゃんは少し身を乗り出して言った。「チキンの方が柔らかくて、味がよく染みるんですよ」その顔がとても嬉しそうだった。歯医者をしていると、噛むという当たり前のことの大切さを何度も考えさせられる。けれど人は、それぞれのやり方で食べる楽しみを見つけていくものらしい。マスターがカウンターに小皿を置いた。カルダモンの香りが立ち上るカレーだ。カルダモンは料理の香りを整えるスパイスで、重くなりがちな味をふっと軽くしてくれる。硬いビーフをチキンに変えること。それもまた、食べる楽しみを軽やかにする一つの工夫なのかもしれない。カルダモンの香りが、静かに広がる。明日もマシモは、患者の口の中にその人の人生を垣間見るのだろう。店にはスパイスの香りと暖かなロックバラードが漂い、今夜も静かに夜は更けていく。

 

 

いかがでしょうか?

 

今回の患者さんも実在した患者さんです。とても失礼ですが、このおじいちゃんがカレー作るんだ!?ととても衝撃的だったのを今でも鮮明に覚えています。ビーフが硬くてチキンに変えたと言うエピソードは、歯医者として硬いものを食べさせてあげられない悔しさも同時に感じた瞬間でした。義歯では硬いお肉はなかなか難しいので。。。やはりそういう時はインプラントなんですが、費用の面もありますし,誰でも気軽にと言うわけにはいかない物ですので悩ましいところです。

 

第2話はそんな思い出のある内容でした。

 

次回、第3話もお楽しみに!!

 

MM歯科・矯正歯科