こんにちは。 桐生市、みどり市、太田市、足利市からも通いやすいMM歯科・矯正歯科 院長の真下です。

 

この度、「タウンわたらせ」というタウン誌の「エッセー」のコーナーに全4回でエッセイを掲載させていただくこととなりました!

 

今回は第3話を載せておきます!!

 

Bar「Clove」に入ると、店内にはロックバラードが静かに流れていた。カウンター奥の棚にはいつものスパイスの瓶が並んでいる。クミン、カルダモン、ターメリック、クローブ。間接照明の下で、その色がやわらかく浮かび上がっていた。スピーカーからはエクストリームの 「More Than Words」。言葉より大切なもの、本質とは何かを歌う曲だ。アコースティックギターのやわらかな旋律が、店の静かな空気に溶けていく。マスターは何も言わず、グラスに氷を落とす。カラン。その音を聞くと、マシモは今日の患者の顔を思い出してしまう。矯正治療中の女性だった。マシモは、矯正中でも装置が黄色くならないカレーを販売している。カレーに使われるターメリックは着色しやすく、矯正器具の色が変わってしまうことがあるからだ。その女性は、来院するたびに器具がきれいに黄色く染まっていた。最初はカレーが好きなのだろうと思った。二度目も三度目も同じだったので、ある日思いきって聞いてみた。「カレー、よく食べるんですか?」すると彼女は笑って言った。「いえ、ターメリック水を毎日飲んでるんです」健康のための習慣らしい。ターメリックは料理を鮮やかな黄色に染めるスパイスだが抗炎症作用や抗酸化作用があることでも知られている。マシモは少し考えさせられた。今まで自分は、ターメリックを「着色の原因」としてしか見ていなかった。けれど彼女にとっては、健康のための大切な習慣だったのだ。同じものでも、見る人が変われば意味も変わる。歯医者をしていると、患者から教えられることがある。口の中のことだけではなく、その人の生き方から学ぶこともあるのだ。マスターがカウンターに小皿を置いた。ターメリックの香りが立つ黄色いカレーだ。マシモはスプーンを口に運ぶ。さっきの彼女の言葉が頭に浮かぶ。いつもと少し違う香りに感じられた。明日もマシモは、患者の口の中にその人の人生を垣間見るのだろう。店にはスパイスの香りと穏やかでアコースティックなロックが漂い、今夜も静かに夜は更けていく。

 

 

いかがでしょうか?

 

この方は、私の代名詞とも言える「染まらないカレー」を販売し始めた当初の患者さんで、ターメリックなしのカレーを追求していた自分としてはとても衝撃的な方でした。ターメリックを溶いた水を飲むと矯正用ゴムは本当に真っ黄色になるんです!普通にカレーを食べた時とは比じゃない程、黄色くなるのです!しかも実はこの方、本文では載せていないのですが、めっちゃカレーも好きな人で、黄色くなるなんて全く気にしない女性でした。自分がよかれと思って商品化した「染まらないカレー」が全く響かなかった方なのです。笑

そういう意味でもとても印象的な方でした。自分の価値観が全てではなく、いろいろな価値観をもった患者さんがいる、と教えられた出会いでした。

 

あっという間に第3話、あと1話で今回の連載はおしまいです。

次回もお楽しみに!!

MM歯科・矯正歯科